全然意識してなかったから自分では分からなかったけど、言われてみれば……。 文香が感じるところを愛撫したかも。 “文香”ってつぶやいたかも。 ……だからなの? まだ、僕が空っぽなのは。 欲は満たしたのに……。 僕が満たされてないのは欲じゃないの? 訳が分からなくて、どうしょうもない空虚感にまたイライラする。 僕はしゃがみこんで両手で前髪をつかみ、大きなため息をついた。 視線はもちろん靴が何足か置いてある床。 ――ため息とほぼ同時に女が唇を割った。