生徒会長様の、モテる法則





「あー、トイレ行きたい」


「リン何回目?」


「わかんない、体内の水分が容赦なく尿に変わってるんだけど。干からびちゃう」




「女性が尿とか言ってはいけませんよ」


「うわ!…なんでいつも神出鬼没…」



「あれ、クゥじゃん!クラスの準備いいのー?」


「うちはオーケストラですから。準備もなにもないんですよ」



本番20分前。
舞台裏で出番を待つ私達の背後に現れた久遠寺君は、クラスが違うのでここに居ないはずなのだが。



「緊張してるんじゃないかと思いましてね、茶化しに」


「茶化しにかい!くんな!」



私が小さめに怒鳴ると久遠寺くんは楽しそうに笑う。
この人は、何かと私に構うが一体なんなんだろうか。



「あはは、少しは緊張ほどけました?」



ふらっと現れ毎回驚く私の身にもなってほしいが、毎回色々してくれるので悪い気はしない。


今回のアドバイスも、そうだった。


「…ありがとう」




聞こえないほどの声で呟いた筈なのに、久遠寺くんは私の頭をゆっくり撫でた。
その指先が離れていく様子に思わず見とれて何も言えなくなってしまう。




「綺麗ですよ。頑張ってくださいね」



さらに一つ殺し文句を落として、彼は去っていった。


ほのかに火照る頬。
あの人は、なんてスマートに恥ずかしい事を言うのだろうか。
照れてる私が、恥ずかしいじゃん!!






変な人…。








「あー、何何?恥ずかしがってんのー?」


私の隣で茶々を入れたハルに一発制裁を加えて、私は彼に背中を向けた。
歩き出すと、ハルも追いつくようにして小走りをする。


「どこいくのー?」


「トイレ」


「またー?」


「ついてくんな!」


「えー、でもおれ…」


「ダメ!」





私は舞台裏の小部屋から外へ出てトイレに向かった。




「とうまに頼まれてんのにー…。ウンコかなぁ」