「お〜…ありがとう。」



上目遣いでお礼を言われるとドキッと心臓が暴れる。



「いや、佐々原美恵に感謝されると調子狂う。」



「なんだそれ。ってか、美恵でいいから。」



佐々原美恵はまたもや目を細め口に手をあて笑う。



「分かった。その…美恵も俺、ハイジって呼べ。」



『美恵』って単語を発した瞬間心臓がパンクバンドのドラムのようになる。



俺、昨日からおかしいぞ…



電車の中でどぎまぎと葛藤しながら



なんとか目的地の駅へたどり着いた。