【完】††Rising††

外に出ると冷たい空気が肌を攻撃してきた。



頭にはあのシーンがフラッシュバックしてくる。



美恵の涙も。



ドラマーとしての俺を必死で守った温もりも。



なんて情けない奴…。



自分を偽り続けて来た灰島太一と何一つ変わらねぇ。



最低、最悪。



どんなにドラムが叩けても人間としてダメなんだ。



心に響く音なんか刻める訳がないんだ。



そう思うとまた腹立たしい気持ちになった。



「こんな乱れた気持ちじゃドラムなんか叩けねぇし…。」



冷たい空気に俺の無気力なバリトンの声が吸い込まれた。