【完】††Rising††



−なんだ、あの声…!



さっきまで超ムカついてた奴の歌声。



すっげー妖艶なんだ。



過激なくらいのエロい歌詞なのに



嫌気が全くしない。



寧ろ、あの声だから歌える代物だと思えるくらいだ。



ただ…



「声に、周りの演奏が喰われてるな。」



「あぁ。だからあいつは、礼治を欲しがるんだ。」



成る程。



確かに、あいつの声にこのクオリティの低い演奏は勿体ない。



「あいつは自分で自分の才能をわかってる。


ムカつくけど、あの歌声には敵わない…。」



龍治は悔しそうに顔を歪め、下唇を噛み締めた。



この顔…SUGAR BEATの演奏を見た時と一緒。



龍治が『敗北』を感じた時の顔なんだろう。



俺は、負けてねぇと思うんだけどな…。