「龍治のくせに切ない歌詞書くからじゃん!」



「ホント、お前フラれたことなかったんじゃねぇの?」



俺と美恵が責める。



すると礼治が俺の唇に人差し指を指した。



「それは、大人だけのヒミツ。」



…なんだよそれ。



礼治め、ハタチのくせに可愛い仕種してんじゃねぇし。



男の俺でもドキドキだっての。



「…今、ハイジ礼治をヤラシイ目で見たでしょ?」



美恵がぷーっと頬を膨らませる。



「みっ…見てねぇし!俺がヤラシイ目で見てんのは…。」



『お前だけだ』と言いたいが言えなかった。