【完】††Rising††

そして楽器屋の中で思い付いたことがある。



俺や美恵みたいにバンドをやってる奴は



皆こういう店が好きだ。



つまり、ずっと着いて来ていた尾行組を撒ける。



試奏を終わらせた美恵の耳元に囁く。



「美恵、今店出るぞ。」



「へっ?きゃっ!」



俺は美恵の腰を抱き抱え、店を出て行く。



そしてそのまま美恵を担いだままで走り出した。



「ハイジ!何いきなりっ」



「これであいつら尾行組撒ける!」



走りながら言うと美恵も成る程と小さく言った。