…気づきたくなかった。 だってコイツは 龍治を想ってるんだから。 俺はどう頑張ってもバンド仲間。 最初から無理じゃん。カッコ悪。 「どうした?ハイジ。」 「…や、なんでもねぇよ。」 元々偽の笑顔を作るのは得意だったから 多分ばれてない。 「ハイジ!次はあのゾンビ倒すやつやってみたい!」 「はいよ、姫のおおせのままに。」 はぁ…こういうとき、偽りの自分が役立つなんて。 はしゃいでゲーム機の前に立つ美恵。 その背中に小声で囁いた。 「好き、だ…。」