「ねぇ!君、名前は!?」


後ろ姿を見つけたピッピは声を張り上げた。


その元気な声に、娘はビクッとして立ち止まり、恐る恐る振り返る。


ピッピはゆっくりと近付いていき、スッと手を差し出した。


「僕はピッピ。
見ての通り、最下位のクォーツさ。」


ヘラッと笑うピッピを見て、娘もゆっくりと手を重ねた。


「私はローズ。
この体の色は特異体質なの…。」


忌まわしい物でも見るかのように、ローズは自身の体を見つめた。


「綺麗だ…。」


「…え?」


「とっても綺麗だ!
今までこんなに綺麗なものを見たことがない!!」


そう言って、ピッピはローズの手を取り、まじまじと眺めた。


「私…いつもこの色を消すために注射を打ってるのよ…?」


「どうして?こんなに綺麗なのに!」


ピッピは好奇心に溢れた少年のように、ローズの手を太陽に透かしてみたり、角度を変えたりして楽しんでいる。


「…あなたっておかしな人ね。」


ぽつり、出てきた言葉は嬉しさと共に…