その時やった。


フェンスの向こうに、見慣れた制服姿。



私をじっと見つめるかわいい瞳。


私が気付くと、大きく両手を振って、ガッツポーズをした。



私は、小走りでフェンスへ向かう。



「みーちゃん、わざわざ来てくれたんか?ごめんなぁ」


「だって心配やってんもん。おばあちゃん、まだ渡してへんのやろ?」



私が元気なくうつむくと、孫は稔さんに会いたいと言い出した。






「うちを稔さんに紹介するって口実で呼び出して、うちが帰った後に、チョコ渡すってどう?」



「・・・うまくできるかなぁ」



元気いっぱいの孫はフェンスを飛び越えた。



「ところであんたは、渡せた?」



「もちろん!!帰り道で追いかけて渡した!!めっちゃ緊張したけど喜んでくれたで!」





勇気をもらった。


中学生の恋と、私の恋・・・



何も違わない。



同じようにドキドキして、嬉しくなったりするんやね。