たっくんが赤い腕時計を見る。
空はもう夕焼けのピークを過ぎて、だんだんと寂しい色に変わる。
雲のスピードを目で追っていると、来夢が私の目の動きをじっと見つめてくる。
「もうこんな時間になっちゃったなぁ、今日も四つ葉は見つからねぇのかぁ!」
たっくんは、勢い良く寝転んで両足を空に向かって上げた。
ずっとこうしていたいと思うくらいに、穏やかで愛に満ち溢れた時間。
「あ!!」
「あぁ~!!」
「ミャォ~!!」
私と
たっくんと
来夢… 同時に声を上げた。
あまりに幸せな時間だったせいで…
「やっべ~!!忘れてた!!」
「もう時間過ぎてる!!ヤバイ!今日、さくらも休みなんだよ~!」
突然体を起こし、立ち上がる私とたっくんをじ~っと来夢が見つめる。
「ミャーミャォ~!!!」
激しく鳴き出した来夢は心配そうに首を上下に動かしながら私たちの周りを歩く。
…そうか…
さよならが怖いんだ。
仲良くしてても、みんな家に帰ると来夢はいつも一人ぼっちだったんだ。
今度こそ、今度こそ…って期待しては裏切られてきたんだ。
私が抱き上げる前に
たっくんが来夢を抱き上げた。
「大丈夫だって~!お前も一緒に帰るんだよ。」
来夢に頬をすりすりしてるたっくんは、夕日と私の涙でキラキラしてた。