「……やっぱり、無理なのかな」



週末の国道。

僕は永輝さんの居所を柚羽さんに言えずにいた。

すっぱりと言った方が本人のためなのかもしれない。


だけど、悲しそうな目をずっと持ち続けている柚羽さん。

話してしまったら、彼女が今にも国道を走る車に飛び込んでしまいそうな気がした。




「心当たりは…ない?」



知ってるくせにそう聞く僕は、偽善者だ。

神様に見放されて当然だ。



「……イタリア」

「イタリア?」

「うん。永輝がね、一番行きたい国」

「そうなんだ」