「……て言うかさ、なんで永輝さんのことを知りたいんだ?」



うつむく僕に、ユウヤさんはそう聞きながらタバコに火を点ける。

ジッポのオイルの匂いが一瞬漂い、吐き出される煙でその匂いは風に消えていく。



「僕の…友達が、永輝さんに憧れていて……」

「そっか」



口から出たウソ。

だけど、完全なウソなんかじゃない。


柚羽さん。

僕は君に、どう話せばいいんだ?


ずっと探している大好きな人が、同じ空の下にはもういないなんて。



「なんで、死んだんですか?」



僕がそう聞くと、ユウヤさんはゆっくりと煙を吐き出す。

夏の夜空にゆらゆらと漂う白い煙を僕は目で追った。