『永輝はね、あたしのそばにいたいと言ってくれた』

そう嬉しそうに微笑んだ柚羽さん。



『でも、本当の気持ちなんて分からなかった』

微笑んだのは一瞬で、また悲しい目をしていた。




永輝さんとかんなさん。

2人が結婚直前で、周囲の人は永輝さんのことを『かんなさんのダンナ』と言う。


それでも僕は、必死に抗う。



「結婚って、本当に?」

「あぁ、間違いないぜ?永輝さん本人が『結婚する』って言ってたからな」



平然とユウヤさんは答える。

でも、なぜこの人は、柚羽さんと同じ悲しい目をして語るのだろう。


その答えは、僕の質問であまりにもあっさりと出た。