「おっしゃー、今日のノルマ終了!さっ、ゲームゲーム」



幸喜は歓喜の雄たけびを上げて、参考書とノートを素早く片付けた。



ゲームを散々楽しんだ幸喜は帰り際「次は健二の家でやろうぜ」と僕を誘った。

健二の家にもゲームがある。

彼の目的は、ノルマと称する受験勉強の後のゲームなんだなと思った。

実際、「そうしようぜ」と同意した僕の目的も同じだった。



夜、1人になった部屋で人探しメモを眺めるのが日課になっていた。

毎日のように、何度も何度も見るけれど、自分がどこから動けばいいのか分からなかった。

僕がこうしている間、柚羽さんは何をしているんだろう。


寂しくて、泣いているんじゃないだろうか。

僕はそんな彼女を慰めることもできない。


彼女は僕の前で決して弱い部分を見せようとしないから。

涙を流すことさえもしないから。