「永輝さんの友達とかには会ってないの?」



そう聞くと、柚羽さんは思い出したように「あっ、そうそう」と話し出した。



「遼太郎くんっていう、永輝のいとこに会ったことがある。国道のことを教えてくれたのは遼太郎くんだった……」



ほら、やっぱりあるじゃないか。

僕は嬉々として、柚羽さんの手を掴んだ。



「じゃ、行こうよ、遼太郎くんのところに」

「……でもね」



僕の手をゆっくりと解く柚羽さんが申し訳なさそうに言う。

嫌な予感がした。



「家が分からないの。一度、遼太郎くんの家に行ったことはあるんだけど、夜だったから道を覚えていなくて」

「うーん、じゃあさ、電話番号は?」

「……繋がらないの。以前、遼太郎くんの家から電話がかかってきたことがあって、かけてみたんだけど、番号が変わったか、引っ越したかで繋がらなかった」