「うん、すぐ戻る。ごめん、ごめん」 柚羽さんの手前、僕は慌てて電話を切った。 「友達、待たせてるの?」 心配そうに柚羽さんが聞く。 「……うん」 「じゃあ、行かないと」 「でも……」 話を聞きたかった。 もう少し、柚羽さんのそばにいたかった。 けれど、子供のような我侭は、僕より2つ年上の柚羽さんには通じない。 「来週もここに来る?」 「うん、たぶん」 「じゃ、その時に話してあげるよ」