「あっち行ってよ」



怒鳴るわけでもなく、怒りに満ちた表情と静かな声。

逆に怖くて、まだ怒鳴られた方がマシだと思った。



「誰か探してるんでしょ?」



ドキドキしながら僕は確信をつく。

彼女の表情が一瞬、緩んだ。

僕を睨みつける目が、あの、悲しい目に変わる。

ビンゴだと、僕は思った。



「……赤い、スポーツカー……」



次もビンゴか?と、僕がおそるおそる聞くと、彼女は突然、僕の両腕を掴んできた。



「知ってるの?永輝を、知ってるの?」

「……えっ?」



豹変した彼女の態度に、僕は呆気に取られてしまった。