パトカーが去り、ぞろぞろとアーケードに向かう人波の中で幸喜が説明する。



「そうなのか。すげーな。オレ、鳥肌たったよ」



子供のようにはしゃぐ僕を、健二が「おまえ、子供みてぇ」と笑う。

その落ち着きぶりや、詳しい話から、僕は幸喜と健二が国道に何度も来ていることにようやく気付いた。


これまで僕を誘わなかったのは、毎週末の夜、僕が玲奈と過ごしていたからだと後で聞かされた。

別れた今となっては、もっと早く、このお祭り騒ぎに参加したかったなと後悔する余裕も、ほんの少しだけ出てきた。



「………?」



再びアーケードに戻ると、僕の視線の先に1人の女の子の姿があった。

自然と僕の視界に入って来たその子は、何だかとても場違いに思えた。