永輝とかんなさんがそういう関係だってことはとっくに知ってる。

かんなさんだって、分かっているはずなのに。



「……見て?これ」

「……?」



かんなさんが、左手の甲をかざした。

薬指にキレイにおさまっている、銀色の指輪。



「永ちゃんにもらったの」

「……そうですか」



あたしはそう言うのが精一杯だった。

永輝がかんなさんに贈った指輪。

それが、かんなさんに対する気持ちなんだ。


そこに、あたしに対する気持ちなんて、ひとかけらもない。

だから永輝はここに来ない。

携帯も解約して、あたしとの連絡を絶った。