「永輝さんの部屋にあったんだよ。遼太郎さんが見つけてくれた。永輝さん、柚羽さんと結婚するつもりだったって!」

「………うそ」

「いや、マジで」



僕が言った瞬間、柚羽さんの目から涙がはらはらとこぼれ落ちた。

泣きながら笑う柚羽さん。

その目には、いつもの悲しさはなかった。


でも、かんなさんの指輪は?と思った。

永輝さんとかんなさんの間に何があったのかは分からない。

かんなさんの指輪のことも。


だけど、永輝さんは柚羽さんの名前が刻まれた指輪を持っていた。

それは紛れもない真実……。


今の僕にとって、小さな謎なんてどうでもよかった。



「これ、あたしが持っていてもいいの?」

「もちろんだよ」