……あれ?

カギがかかっている。

永輝さんとのことに、ようやく気持ちの整理がついたのかな…。


また夜にでも来ようと、ドアノブから手を外した瞬間、何か視線を感じた。


感じた視線は、柚羽さんの隣の部屋に住む男の人のものだった。

ちょうど帰ってきた所らしく、片手に部屋のカギを持っていた。


僕のことを怪しんでいるのか、怪訝そうな顔をしている。



「……こんにちは」



僕が挨拶をすると、その人は黙ったまま軽く頭を下げて部屋に入って行った。



やっぱ、怪しいかな。

制服姿の僕が、一人暮らしの女の子の部屋を訪ねるなんて…。