高校という学び舎とは、とても不釣合いな車だった。

真っ黒なフィルムで覆われた窓ガラス。

キレイに磨き上げられた黒塗りのボディ。


そう。

何度も訪れた国道でよく見かけていたタイプの車だった。


生徒たちは興味津々で視線を向けながらその車の横を通り過ぎていく。

僕もその中の1人だった。



「おい」



僕が車の横を通り過ぎた瞬間、窓ガラスが開き、サングラスをかけた男が声をかけてきた。

目元が覆われていたけれど、僕はすぐにそれが遼太郎さんだと分かった。



「………なんですか」



再び怒りが湧き起こり、僕は素っ気無い態度で遼太郎さんと接する。

暴走族あがりだろうと、今の僕に怖いものなんてなかった。