都合のいい女――。



そう鼻で笑った遼太郎さん。

柚羽さんのことをそんなふうに見ていた永輝さん。


僕は苛立ちと怒りで悶々とした日々を過ごしていた。


怒りが少し収まると、柚羽さんと永輝さんの縁が切れてよかったとホッとしていた。

とても不謹慎だったけれど、そう思わないとやってられなかった。



だけど僕は、本当にまだ子供だった。

誰かがこうだと言えば、素直にそれを受け止める。

なぜそうなったのか、その奥のことを想像することも、察することもできなかった。




「なんだ、あの車」



遼太郎さんと会って何日か経ったある日の放課後。

高校の正門前に1台の車が横付けされていた。