「……なに?」



餃子、おいしそうだなぁと眺めていた僕に、冷たい言葉がかかる。

振り返ると、長身の男が立っていた。


長めの茶色い髪を後ろでひとつに束ねている。

年は、僕より少し上……柚羽さんと同い年くらいといったところだ。



「あ…、すみません、突然。仕事中に」

「……ていうか、誰?」



制服姿で突然やってきた見ず知らずの僕を、遼太郎さんは顔をしかめてじっと見る。



「……槙村晶といいます」



名乗っても、表情ひとつ変わらない。

だけど、僕があの人の名前を口にすると、遼太郎さんの顔色は瞬時に変わった。



「……永輝さんのことで……」