柚羽さんを信じて、その気持ちを尊重しようと、僕はあれ以来、柚羽さんのアパートを訪ねるのをやめた。

また受験勉強に取り組む日々を再開させた。



「あーあー、頭ん中、数学の公式がグルグル回ってるぜ」

「オレは英単語……」



彼女もちの幸喜と久しぶりに一緒に帰る。

今日は彼女が家の用事で早く帰らないといけないとかで、幸喜の方から「一緒に帰ろう」と誘ってきた。



「あと半年の辛抱とはいえキツイよなぁ」

「だよなぁ」

「あ、ちょっと寄っていいか?」



通学路の途中にあるコンビニの前で幸喜が立ち止まる。



「今日、発売日なんだよ」



今日は幸喜が毎週欠かさず読んでいる週刊マンガの発売日だった。