柚羽さんが僕からそっと離れる。



「そんなこと……。また会おうよ」



泣きつくようにして僕が懇願すると、彼女は笑う。



「会う理由がないわ。それよりも君は受験生。勉強に専念しなさい」



少しばかり年上だからって、すぐに子供扱いする。

どうしてそんなに大人ぶるんだよ。



「……けど…」



ムッとしていた僕に柚羽さんが続けて言った。



「合格したら、会おうか?同じ大学生同士ってことで」

「………本当?」

「嘘はつかないよ」



約束してくれた柚羽さんに、僕は笑った。