「安藤ナツメっていうんだ」

にこにこと人懐こい笑みを浮かべて、安藤ナツメは俺の布団の隣に花柄の布団を敷くと、そう言ってきた。

首を少しだけ傾げて、きみは?と、促してくる。

「…七澤総司」

そう答えると目を見開いて、顔をクシャクシャにして笑ってくる。

「K中の、あの七澤?」

「…ああ」

「あの」という言葉に眉を寄せて首をかしげたが、すぐに何となく予想はついた。
ナツメは尚も笑顔のまま続ける。

「俺の高校でも「K中の七澤」の事は有名なんだよ。眉目秀麗、スポーツ万能の、ファンクラブがいくつもある生徒会長…でしょ?」

面白そうに笑いながら、そんなことを言ってくる。
俺は自嘲気味に笑って首を振った。



「………人違いだな」




そう言うと、ナツメはふわりと柔らかく笑い、じゃあそろそろ電気消すか―と立ち上がった。

戸口までいき、スイッチを押すのが見えた。


一瞬にして、暗闇に包まれる。



…浅く空気を吸い深く息を吐き、ゆっくりと、目を閉じた。