≪Fake≫




俺は彼女のために何が出来る?


彼女に信じてもらうために、

何をすればいい?


思い出すんだ。


ユアは俺に何をしてくれた?


大切な者を捨てて俺を選んでくれた。


だったら、俺は何を捨てればいい?


ユア、君は俺が何を捨てたら、

俺を信じてくれるの?


俺にはユアの気持ちがよく分かる。


あの時、ユアの手を振り払った時の俺と同じ。


信じたいのに、信じられない。


心のどこかで疑って、それが広がっていく。


黒いインクが、紙に染みをつくるように…。


俺は、彼女のために何ができる?


待つ?抱きしめる?


本当にそれだけだろうか。


俺は今まで、自分の気持ちばかり優先させてきた。


ユアの前にこの館へ連れた着た女も、

俺が一緒に居たいから、

騙してまでも、攫ったんだ。


ユアも、そう。


本当は分かっていた。


ユアの心の中には、あいつ等が居る事も、

本当は一緒に居たいと、願っている事も。


それでも、俺はユアを独り占めしたくて、

無理矢理選択させた。


ユアを奪われたくない。


イレだって、もちろん大切だった。


でも、ユアは俺にとって、一番大切な人なんだ。


だって、ユアは…

ありのままの、俺を受け入れてくれたから。


だから、俺は、ユアのために何だってしたい。


もう、今までの俺とは違うんだ。