心 ―ハジマリノウタ―




フェイクは、じっと考え込んでいる様子だった。


しかし、次に顔を上げたフェイクは、

眉を下げたまま、苦しげだった。




「俺は…俺にはまだよく分からない。

ユア、ごめん」





彼は、かすれる声で囁くと、私に背を向けて

去っていった。


私は結局、誰かを苦しめてしまうのだろうか。


それでも私は彼を追いかけなかった。


もう、伝えられることは何も無いから。


主人が居なくなった部屋には

私と同じように虚しさだけが木霊している。


フェイクと離れたのは、これで

ここに来て2度目。


私はそっと、壁に敷き詰められた本を手にとった。


今できることは、待つ、ただそれだけだった。