16
「外出準備できたよ」


「そう」


「君は?」


「ああ。あたし、今メイクし終わったばかりなの」


「時間があるから、なるだけゆっくりね」


「分かってるわ」


 あたしが頷き、喬の方をチラッと見る。


 彼はスタイリングムースで髪の毛を整え、外出支度も終えて、鏡に向かい自分の姿を映していた。


 それが数分間続く。


 完全に外出準備をし終えた喬が、ゆっくりと息をつき、振り向くと偶然にもあたしと目が合う。
 

 あたしは笑顔を見せた。