島は暑く、今夜も寝苦しくなりそうだった。


 さっき体に掛けていたタオルケットには汗染みが付いていて、窓を開け放っただけのこの部屋全体がどのぐらい熱いか、容易に想像がつく。


 あたしは眠ろうとするが、なかなか寝付けない。


 喬はすでに眠り始めていた。


 スースーという寝息が聞こえてくる。


 あたしは日付が一つ変わっても眠れなかったので、ベッドから起き出し、六本木にある都内では有名な精神科医に処方してもらっていた頓服の睡眠導入剤をバッグから取り出して服用し、すぐに眠気が差してきたのでそのまま眠りに就いた。


 あたし自身、興奮したままだと、眠りに入りにくいことがたびたびある。


 それに銀座でクラブをやる以上、掛かる精神的なプレッシャーは相当なものだ。


 だから、あたしは店が休みの日などは自宅マンションから自転車で十分ぐらいのところにある精神科の病院に通って、カウンセリングしてもらっていた。


 あたしのドクターは六十代後半ぐらいの男性で、極普通のお爺さんだ。


 あたしはそのドクターから言われたことがある。