これは今という時代に、日本人なら誰もが持つ考え方である。


 いわゆる、ちょっとした食の贅沢だ。


 あたしと喬は手を繋いで、目抜き通りにあったカフェ兼レストラン<スルート>へと入っていった。


 店内は時間帯が時間帯とあってか、人が少ない。


 そして喬も相当腹を減らしていたようで、テーブルに座り早々、


「このピザが食べたい」


 と言い、日本人なら軽く三人分か四人分ぐらいある大きなピザを指差した。


 あたしは最初戸惑っていたが、やがて、


「分かった。じゃあ、このピザを一枚とコーヒー二人分でいいかしら?」


 と訊く。


「ああ」


 喬が頷き、脇に設置してあったコールボタンを押す。