そう思っていた。


 幸い、あたしたちのバカンスを邪魔する人間は誰一人としていない。


 二人だけで過ごせる休暇はこれから数日間続く。 


 あたしは喬に、


「ちょっと朝ご飯食べていこう」


 と言って、食事に誘った。


「ああ」


 彼が頷き、あたしたちはホテルの近くの食堂で食事を取ることにした。


 幸い、食事を取る場所ならいくらでもある。


 しかも値段を選ばなければ、相当安い店もあった。


 ただ、あたしはそんなにけち臭くなかったし、食事にお金を掛けることに対して、全くと言っていいほど抵抗がない。


 逆にちょっと美味しい食べ物なら、高いお金を出しても食べてみたいという高級志向派だった。