あたしたちは結ばれているのだった。


 目に見えないチェーンのようなもので。


 それはとても頑丈で、切ろうとしても簡単には切れない。


 あたしは喬を想っていたし、彼もあたしのことを想ってくれるようだ。


 これが実にいい傾向なのだった。


 成熟した大人同士が恋愛すれば、必ず芽生えてくるのが互いを想い合った愛なのだから……。


 エレベーターホールで、あたしたちはボックスを待ち続ける。


「まだ来ないのかな?」と思い、もどかしい気持ちを浮かべながら。


 だが、手は繋いだままだった。


“離さない”


 単純だが、それが今のあたしたちの心の中にある正直な気持ちだった。