あたしは持ってきていた歯磨き粉で歯を磨き、同じく持参していた洗顔フォームで顔を洗って、洗面所の横の風呂場に掛けてあったタオルで拭く。


 そして軽くメイクした。


 あくまで濃くならない程度に、だ。


 あたしはゆっくりと化粧しながら、今日のことを考えていた。


 ビーチは多分灼熱だろうと思われたし、実際今でも相当生暖かい風が吹いている。


 あたしはゆっくりと洗面所で洗面して、リビングへと戻った。


「喬、顔洗って」


 パッと見た感じでは、喬の顔に汗と脂が浮いている。


 あたしは男性がある程度脂を乗った顔をしているのは許せるのだが、やはり必要以上に脂ぎった感じは嫌だった。


 それに喬はまだ若いから、清潔にしておいて欲しいというのもある。


 彼はあたしの経営するクラブに夜飲みに来るオヤジ連中とは違うのだから……。


 喬は素直に頷き、洗面所へと入っていき、冷たい水で顔を洗い出したようだ。