「……苦いな」


 と呟いた。


 あたしと喬はコーヒーの好みが違うようだ。


 あたしがエスプレッソで濃い目に淹れるのに対し、彼は薄いアメリカンで淹れて飲んでいるようだった。


 あたしたちは南国の蒸し暑い朝に、互いにほぼ下着姿で、ゆっくりしている。


 あたしも喬もほとんど服を着ていなくて、あたしはブラとパンティーでTシャツ姿、彼もTシャツ一枚に短パンでいた。


 あたしたち二人は二月という一番寒い時季に、夏の格好をしている。


 辺りがとても蒸し暑いからだ。


 何せ、薄着していても汗は迸(ほとばし)るように出てしまい、あたしも喬も体が火照るように熱くて堪(たま)らない。


 あたしたちはコーヒーを飲み終えると、あたしが先に洗面所へと入り、歯磨きと洗顔をする。 


 喬はリビングでテレビを見続けていた。