「ありがとう」


 あたしが頷き、バスルームへと入っていく。


 喬はベッドの上に横になり、買っていたメンズファッションの雑誌を読んでいた。


 やはり若い男だからだろう、未だにファッションには興味があるようで、決して身だしなみに無頓着な方じゃない。


 逆に喬はお洒落なのだった。


 あたしが部屋に入ると、彼のファッションセンスが一瞬で分かったぐらいだ。


 普段からメンズのブランド物ばかりを着ているようで、上着もシャツもジーンズもいいものを着ていたし、室内にはその手のカジュアルがたくさん吊り下げてあった。


 あたしはシャワーを浴びながらも、風呂場で喬が案外いろんなものに凝っているのが、手に取るように分かる。


 シャンプーやリンス、ボディーソープ、洗顔フォームなどは全部一流メーカーの品物であたしは意外に思っている。


“喬ってやっぱあんまし生活感ない”


 新宿でホストをやっている以上、普通のサラリーマンなんかよりは格段に収入が多いの