いつも飲みに来るのは常連ばかりで、会社の社長や常務、専務などの上役、文壇で名を成している作家、国会議員などの政治家、それに金は持っているがいかにも恐持(こわも)ての暴力団幹部など、いろんな人間たちがいた。


 あたしは基本的に雇ったホステスの女の子たちに接客を任せながら、自身は必要最低限の客と対面し、一緒に酒を飲む。
 

 実はあたし自身仕事で酒を飲んでいるからか、一度病院で検査してもらったとき、肝機能が弱っていると言われて、薬を服用していた。


 やはり仕事だからか、致し方ない。


 お金をいただくのは責任を伴うからである。


 あたしは半ば気晴らしでルイに行ったとき、喬と初めて出会って強烈に惹かれた。


 何かまるで磁石のプラスとマイナスの両極のように、物凄く引き付け合うものがあり、あたしはその夜店が終わると、喬に近付き、


「今からホテルにでも泊まらない?」


 と鎌を掛けるようにして言ってみた。


「……」