ゆっくりと夜の時間が流れていった。


 あたしは二月というこの時季に、赤道直下のこの南の島までバカンスに来ていた。
 

 相方はあたしの遊び相手である川平喬だ。


 喬は普段、新宿歌舞伎町のホストクラブ<ルイ>でホストをやっていて、あたしは銀座に<キュロール>という店を持っていた。


 お互い夜の仕事をしているのだ。


 しかも非常に似通っている水商売を。


 知り合ったきっかけらしいきっかけと言えば、あたしが一年前の二〇〇八年一月に新宿に行き、たまたま目に留まったルイへと入ったのだった。


 新宿と銀座は掛かる飲み代が全然違う。


 あたしは毎晩、多数の客の相手をしていて疲れていた。


 午後六時半の開店と同時に、あたしはお洒落なドレスを着て、ホステスを漁りに来た、たくさんの中高年男性に酒を飲ませる。


 それが仕事だ。