「今からホテルでもどう?」


 と誘ってみた。


 あたしは年齢がだいぶ行っているのに、喬がコクリと頷いてみせる。


 あたしたち二人はその夜を境に一組のカップルとなった。


 あたしは思っていた。


「種村さんからこっちの男の方に乗り換えようかしら」と。


 二人で交わす愛はすでに始まっていて、喬もどうやらその気のようだ。


 あたし自身、喬と付き合い出した以上、種村と別れるタイミングを窺(うかが)っていた。