真っ赤なハイビスカスは相変わらず綺麗で、あたしを釘付けにする。
 

 喬はいつの間にか眠ってしまったようだった。


 あたしがケータイのフリップを閉じ、財布など貴重品の入った手持ちのバッグに仕舞い込むと、彼は起きたらしく、


「もう着いた?」


 と訊いてきた。


「うん。もうすぐだと思う」


 車はそれから五分後に、空港にある日本や韓国などアジア圏内行きの飛行機が飛び立つターミナル内へと入り、横付けされた。


 あたしがドライバーの請求した額よりも多く支払い、車のトランクを開けて、バッグを取り出す。


 喬も同様にバッグを手に取る。


 あたしたちはゆっくりとターミナルへ入っていった。


 空港内で出国手続きを取ったあたしたちは、時間に若干余裕があるからか、ターミナル内の軽食の取れるカフェに入り、サンドイッチとアイスコーヒーを注文して一休みする。