氷の女王に愛の手を


―――四回転は回避する。


嫌がおうにも蘇る言葉。


四回転なしでこれ以上の得点が俺に出せるか?


上位二人がミスをする可能性はあるのか?


表彰台に上れるのか?


自問自答を繰り返す。


時間がないというのに、まだ答えをだしきれない自分に腹が立つ。


煮え切れない想い。


リンクサイドにいるコーチと壁を隔てて会話をするが、なにも頭に入ってこない。


ただ「最初は2A」という言葉だけは、耳にこびり付いた。


コールされてリンク中央に移動する。


氷面には無数のトレース跡。客席から英語の声援。