氷の女王に愛の手を


合計67.5。この時点でSP一位。


タクが近付く。火が燈った良い眼をしている。


「普段通りに滑ればいい。他人の事など気にするな」


「はい」


「格の違いを見せつけろ」


アナウンスがタクを呼ぶ。


ここから先は、彼一人の戦いだ。


リンクの中央に立ち、その瞬間を待つ。


ショートプラグラム。パガニーニの主題による狂詩曲。


戦いは、静かに始まった。


少しテンポが速いこの曲に合わせて、上半身を動かしながら足元は細かいターンを入れて氷を削る。


四隅の壁際にそってしっかりと漕ぎ、助走をつける。