あっつい。

さっきから、校長の説教が、うだうだうだうだ続いてる。

「君達は、中学生としての自覚と節度を守って、有意義な夏休みを…」

自覚と節度かぁ…。

やっちゃいけないことを、勝手に決められ、押しつけられて、未成年だからとか、子どもだからなんて、半人前扱い。

やんなっちゃう。

大人だって、自覚と節度がない奴、いっぱいいるじゃん。

だらだら長い終業式。

校長は、声をはりあげるけど、結局、いつもと同じ事ばっか、繰り返してる。

校長の『くんわ』なんて、誰も聞いていないのに。



「ねえっ! マック寄ってこ」

えーこが、あたしの腕を引っ張る。

えーこは、シェイクがお気に入り。

「でもぉ、あたし、ケンタのオレンジシャーベットがたべたぁい」

じりじり、じりじり。

真夏の太陽が照りつける。

ああ。とけちゃいそうに、暑い。

「シェイクぅ!」

「やーだっ! オレンジシャーベットぉっ!」

あたしとえーこの、不毛な戦いは、続いた。