ギィーっという音にハッとした。
掴めそうだった記憶がパッと消えていく。
『……あなたって本当にムカつくわ』
そんな言葉を落として私に近寄って来たのは、神田さんだった。
『これみよがしにリーフレットを扉の前に置いたのは先生に居場所を知らせる為?
でも残念ね。
私しか気が付かなかったみたいよ?』
「別にそんなつもりじゃないわ。
…でも拾ってくれてありがとう」
ムカつくのは私も同じ。
あと少しで思い出せそうだったのに邪魔されたんだから。
イライラしながらリーフレットを受け取ろうと手を出した。
けれど神田さんは私に渡す素振りを一向に見せない。
真っ赤なルージュをのせた唇の端がわずかに上へと持ち上がり笑みを浮かべた。
『……私言ったわよね?
先生には近付かないでって。
なのによくも堂々と展覧会に来れたものね』
口許だけ笑って、目は笑っていない神田さんの顔つきに寒気がした。
「そんなの了承してないし。
あなたに言われる筋合いは無いでしょ?」
まだ痛む頭。こめかみを抑えながらどうにか立ち上がった。
掴めそうだった記憶がパッと消えていく。
『……あなたって本当にムカつくわ』
そんな言葉を落として私に近寄って来たのは、神田さんだった。
『これみよがしにリーフレットを扉の前に置いたのは先生に居場所を知らせる為?
でも残念ね。
私しか気が付かなかったみたいよ?』
「別にそんなつもりじゃないわ。
…でも拾ってくれてありがとう」
ムカつくのは私も同じ。
あと少しで思い出せそうだったのに邪魔されたんだから。
イライラしながらリーフレットを受け取ろうと手を出した。
けれど神田さんは私に渡す素振りを一向に見せない。
真っ赤なルージュをのせた唇の端がわずかに上へと持ち上がり笑みを浮かべた。
『……私言ったわよね?
先生には近付かないでって。
なのによくも堂々と展覧会に来れたものね』
口許だけ笑って、目は笑っていない神田さんの顔つきに寒気がした。
「そんなの了承してないし。
あなたに言われる筋合いは無いでしょ?」
まだ痛む頭。こめかみを抑えながらどうにか立ち上がった。

