恭平が逃げ回ってる中あたしは、のんきに屋敷の大広間で旭さんとドラマを見ていた。
旭さんは、感動したのかハンカチで目もとを拭いている。



慎之介くんも一緒に居るんだけど、慎之介くんは、ドラマよりもテーブルの上にある栗饅頭ばかりじっくり見つめていた。



食べる気配もなくただじっくり見つめるだけ。



「食べないの?」



「良いんですかぃ?食べても」



きょとんとしながら慎之介くんがあたしに視線をうつす。



「うん!だってこれ、腐ってるかもだし。でも、慎之介くんなら食べても死なないでしょ?ホームレスしてるって事は、腐ってても食べるに決まってそうだし」



「何気にすごい事言うわね?」



目元をハンカチでまだ拭いていた手を止め旭さんが呟いた。


「え!?」



「……」



「ほら慎之介くんも、少し引いてるわよ」



「え!?なんで?」



「なんでって…ね?」


「?」



旭さんは、慎之介くんと顔を見合わせる。あたしは、頭に?マークを浮かべたまま二人を交互に見合わせた。