「――は?」
顔の横で両手を合わせてニッコリ笑うあたしに、黒いオーラ全開で聞き返してくる奈々。
今日3回目の敗北が決まりそうなこの瞬間、すでに昨日のテンションの高さは見る影もありません。
めっ……めげない!
「だから、お見合いってどこでやるのかなぁ~?と思って!」
「どこだっていいでしょう」
真顔でバッサリ切り捨てられ、背を向けた奈々をもう一度呼び止める。
「じゃあせめて何時からなのか……っ」
「――……?」
「は……はひ……」
無言で満面の笑みを向けられた挙句首まで傾げられ、そろりと視線を逸らす。
しつけーんだよこの子猿が今すぐその口ホチキスで留めてやろうか?って言われてるのが分かる……! 無言の圧力をビシバシ感じる……!
恐る恐る視線を戻せば、奈々は教室に入っていってしまった。
あぁああああ! 奈々ーっ!!
手を伸ばしてみても、再び呼び止める度胸なんてありません。
今日3回目の敗北……。
肩を落として廊下で1人うなだれるあたしは、翔太にお見合いをする場所を聞く任務を与えられていた。
だけど奈々は機嫌が悪いみたいで、相手にしてくれない。
お見合いという単語を出しただけで、奈々の背後にブワッと黒いオーラが溢れ出す恐怖と言ったら尋常じゃない。
思い出しただけでもブルッと体が震える。
でも怖がってる場合じゃない!
お見合いまであと6日……。
何としてでも居場所を突き止めてみせます!



