「すっかり拗ねちゃったみたいだね」
「――ッキョウ!」
クスクスと笑うキョウはボーリングの玉を持ちながら、不貞腐れてる翔太を見遣る。
「めずらしいね。翔太が後ろ向きなんて」
「……俺の告白がそんな話してる場合じゃないで終わったんやぞ。元気あるほうがおかしいやろ!」
「だったら、そんな話をしてる場合じゃない理由を、消しちゃえばいいのに」
「「――……」」
翔太だけじゃなくあたしも固まると、キョウは隣にいる昴に顔を向けた。
「ね。昴もそう思わない?」
「んん……? リユーをけしたら、ショータのこくはくは、おわらないの?」
「まあ単純に考えると、そうだよね」
「でもどうすれば、けすの?」
昴の間違いにキョウは吹き出したけど、あたしと翔太は顔を見合わせた。
どうやって消すかなんて、決まってる。
お見合いするからって、奈々は言った。
『だから今付き合うとか付き合わないとかの話をしてる場合じゃないの』
それなら今やるべきことってひとつじゃない?
「……今思い付いたこと言っていい?」
「いや、アカンやろ……。そんなことして大丈夫なん?」
「だって乗り気じゃなさそうだったし……」
「……ほんなら俺、もっかい頑張ってもええ?」
「すごく頑張るべきだと思う」
真顔で会話していたあたしと翔太の顔は徐々にだらしなくなって、お互いニヤ~ッと口の端を上げた。
「お見合いを!?」
「阻止するしかないやろ!」
むぎゃーっ!と意味が分からないくらいテンションが上がるあたしと翔太。
キョウ! ナイスアドバイス!
お見合いがなくなれば、翔太と付き合うか付き合わないかの話をしてくれるってことでしょ!?
それってつまり、翔太はまだフラれてないってことじゃん!
むしろお見合いが決まっちゃってたせいで、OKできなかったともとれるよね!
うっほおおおお可能性見えてきたぁああああ!!



