奈々は、あたしと同じくらい昴たちも大切に思うようになったって言ってたけど。それはあたしの口からは言えないけど。
昴たち3人の中で奈々と1番関わってるのは、翔太だと思う。
翔太が奈々を好きだからってこともあるけど、奈々は本当に嫌だったら関係を断ち切ることくらい簡単にやってのけるんだよ。
だから……だからっていうか。
奈々と翔太が知り合ったきっかけは、あたしが昴のことを好きだったからだけど。
それより先の関係は翔太と奈々が作ったものであって……。
ああもう! 何なのこのもどかしさ! 難しいこと考えるのは苦手なのに!
「奈々が言ってたんだけどね!? 奈々は、あたしと昴が上手くいってほしいって思ってたんだって! それで、今付き合ってるでしょ? だからもう奈々はね、翔太と関わる必要は微塵もないんだよね!」
「……サラッととんでもないこと言うてるで自分……」
だって本当のことだからね!
「今までの奈々だったら、普通はそうなるはずだったんだよ! 奈々って誰にでも笑顔は作るけど、興味無い人と仲良くはしないもん。ていうかあたしにしか興味ない変人なの!」
「言うてることは分からんでもないけど、親友を変人て……」
うん! こんなの奈々に聞かれたら首絞められるね! 間違いなく!
「でもそういうことなのっ! そんな奈々が翔太と関わり続けてるってすごいことなの! 意味あることだと思うんだよねっ」
フンッと鼻息荒く力説すると、翔太は少し驚きながらもすぐに眉を寄せた。
「それって俺だけやなくて、キョウも当てはまるやん」
おうっふ……。わざわざ名前出さなかったのに超ポジティブな翔太が突っ込んでくるとは……。
「そうじゃなくて~……キョウより昴より、翔太が1番奈々といることが多いってのが重要なの!」
「1番奈々とおるんは透やけどな」
フッ……と遠くを見てたそがれてしまった翔太に白目を剥きそうです。
ああ神様……。
あたしにこれ以上どうしろというんですか。脳みそスッカスカのあたしに出来ることなんて、たかが知れてるんですよ……。



